派遣スタッフが有給休暇はいつから使える?有給休暇の権利を得るため条件の詳細

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派遣スタッフが有給休暇はいつから使える?有給休暇の権利を得るため条件

タイトルを見て「派遣スタッフも、有給休暇を利用できるの?」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
派遣スタッフとして仕事をしていると、時間給で働いているという意識を強く感じている方が多い傾向にあります。
遅刻や早退、欠勤をした場合はお給料からマイナスされることが前提となっているので「有給休暇を取得することができる」ということをイメージできていない方も多いようです。
ですが、派遣スタッフでも、有給休暇を取得することはできます。
見落としがちなポイントですが、せっかくの権利ですからしっかりと利用したいですよね。
ただ、一定の条件をクリアしていないと申し込めないという事情も存在します。
今回は「派遣スタッフが有給休暇を取得する」ということについて、詳しくご紹介しましょう。

派遣スタッフは有給休暇をいつから使える?

それではまず、派遣スタッフが有給休暇をいつから利用できるかということについて、ご説明していきます。
有給休暇には、取得するための前提条件が存在しているということをご存知ですか?
詳しく見ていきましょう。

知っているようで知らない「有給休暇」について

実は、正社員であっても、派遣スタッフであっても、アルバイトやパートであっても、年次有給休暇が取得できるようになる条件は同じということをご存知でしょうか?
勤務形態がどのような形式であっても、雇い入れ日、つまりお仕事を始めた日から6ヶ月間継続して勤務していることが、条件のひとつとなります。
つまり、勤務開始から6ヶ月以上経過して、初めて有給休暇を使用する権利を得ることができる、ということです。

では、いつから有給休暇は付与されるのでしょうか。
初年度に関しては、全労働日のうち8割以上の出勤をしていれば、勤務継続6ヶ月目に有給休暇が付与されます。
次年度以降に関しては、1年ごとに全労働日のうち8割以上出勤をしていることを条件に、有給休暇が与えられていきます。
この時、付与される日数は、勤続年数によって変動があります。
気になる場合は、あらかじめ確認しておくようにしましょう。

派遣スタッフの「継続勤務」とは

派遣スタッフの場合は特に「継続勤務」という言葉に頭を悩ませる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「派遣」という就労スタイルは、基本的に有期雇用が前提となっています。
それでは、一度契約が満了するたびに継続勤務履歴はリセットされてしまうのでしょうか。
派遣スタッフの継続勤務について、もう少しかみ砕いて説明してみましょう。

派遣スタッフの場合、継続勤務とは「同一の派遣会社に在籍している状態」のことを指します。
例えば、派遣会社からの紹介で「A」という派遣先企業に3ヶ月契約で勤務したとしましょう。
「A」との契約が満了という形で当初予定通り3ヶ月で終了した後、同じ派遣会社から「B」という派遣先企業を紹介され、就業したとします。
「B」という派遣先企業では契約更新を繰り返し、3か月以上勤務することになった場合、その派遣スタッフは「A」と「B」の派遣期間を合算し「6か月以上勤務している」と判断されることになるのです。
つまり、同一の派遣会社から継続してお仕事紹介を受け、就労している場合は「継続勤務」とみなされるという訳です。
もちろん「A」という会社での3ヶ月契約が更新し、6ヶ月雇用されれば「継続勤務」したということになります。
同じ派遣会社に雇用されている状態であれば、同一の派遣先企業であっても、派遣先が異なっていても、6ヶ月継続して勤務すれば有給休暇を取得することができるということです。

ただ「A」という派遣先企業と契約満了し、すぐに「B」という派遣先企業に派遣されるとは限りません。
派遣という働き方を選ぶと、このあたりに不安を感じられる方も多いのではないでしょうか。
では「A」と「B」の間に少し間が空いてしまい、就業していない期間が発生してしまった場合は、どのようになるのでしょう。
派遣スタッフの場合「A」を退職してから「B」に派遣されるまで、数日から最大で1ヶ月程度までは間隔があいてしまっても、継続勤務として取り扱われるというのが一般的となっています。
つまり、多少の期間が空いてしまったとしても、1ヶ月程度までなら実質的に雇用関係は継続している状態として判断されるケースが多いのです。
勤務期間は「通算」という形となります。
間隔が空きすぎてしまった場合は、残念ながら継続勤務とは見なされません。
この空白期間に関しての扱いは、派遣会社の規定に準じます。
派遣スタッフとして仕事を続けていきたいと考えた時、有給休暇というのはとても大切なポイントになってくるといえるでしょう。
登録を検討している派遣会社がどのようなシステムなのか、派遣登録時にきちんと確認することをおすすめします。

この「通算」という考え方は、社会保険関係でもポイントとなります。
登録する際には、派遣会社にこちらもあわせて確認しておくといいでしょう。
いざ就業となったときに慌てることがないように、あらかじめ想定できることは質問し、クリアにした状態で登録できるといいですね。

派遣スタッフが有給休暇の権利を得るための条件

派遣スタッフが有給休暇を取得するための条件としては「6ヶ月以上継続して勤務していること」が、一つ目の条件でした。
もう一つの条件は「所定労働日数の8割以上出勤していること」になります。
所定労働日数とは、何を指しているのでしょうか。
今一つ、分かりにくいですよね。
ここでは「所定労働日数の8割以上出勤していること」について、解説しましょう。

全労働日数とは、契約時に定められている勤務日のことを指します。
これを別の呼び方で「所定労働日数」ともいいます。
所定労働日数に関しては、雇用形態によって変動があるものとなります。
正社員の場合は「週5日、8時間勤務」、いわゆるフルタイム勤務というのが一般的でしょう。
ですが、派遣スタッフの場合はもともと週4日勤務で契約を交わしているケースもあります。
その場合は「週4日」というのが、所定労働日数なのです。
所定労働日数には「会社の都合により休日となった日」「ストライキが原因で休業した日」「代休取得日」「選挙や投票などの公民権行使のための休日」「天災等、不可抗力による休業日」は含まれません。
その他にも「産前・産後休業期間」「育児休業期間」「介護休業期間」「業務上の負傷や疾病による休業期間」などは、継続して出勤したもの――つまり、継続勤務とみなされます。
業務外で負ってしまった負傷や疾病、風邪は勤務日数として加算されませんので、注意しましょう。
つまり、契約時に交わした所定労働日数のうち、8割以上出勤している場合は有給休暇を取得する権利を得ることができる、と定められているということです。
続いて「8割以上」という言葉について、詳しく説明しましょう。

例えば、6ヶ月間という契約期間で、週4日勤務の契約を交わしている派遣スタッフがいたとします。
その場合、6ヶ月の全労働日は96日です。
96日の8割というのは、77日になります。
つまり、そのスタッフの場合は96日中77日以上出勤していれば、有給休暇を取得する権利を得ることができる計算になるのです。
体調を崩してしまったり、家庭の事情などのやむを得ない事情で19日欠勤したとしても、有給休暇を取得することは可能になります。

それでは、遅刻や早退してしまった場合は、どうなるのでしょうか。
遅刻や早退は「欠勤」という扱いにはなりません。
つまり、遅刻しても、早退しても「出勤」という扱いになるのです。
このように見ていくと、労働者に対して比較的親切な、優しい設定がされているということができるでしょう。

有給取得条件を満たせなくても、有給休暇は取得可能?

先ほどの例で考えてみましょう。
6ヶ月、週4日勤務で契約をしている派遣スタッフが、体調を崩して20日欠勤してしまったとします。
そうすると、有給取得条件を満たせていないということになりますね。
その場合は、残念ながらその年は有給休暇を取得することはできなくなってしまいます。

例えば、最初の6ヶ月は条件をクリアしていたら、まずは初年度分の有給休暇を取得することができます。
その1年後、条件をクリアできなかった場合は、有給休暇の日数は「0日」になってしまうのです。
翌年、条件をクリアできた場合に付与される日数も、気になりますよね。
「有給休暇を初年度にしかもらえていないから、次に付与される日数は1年目に該当する日数に減ってしまうのでは?」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、この点に関してはきちんと勤続年数に応じた有給日数を付与されることになっていますので、安心してください。
例えば、初年度10日付与され、翌年条件をクリアできず0日だったとしても、3年目には通常3年目の人が付与される日数、つまり12日が付与されるということです。
とはいえ、2年目が0日になるというのは、なかなか厳しいもの。
「有給なんて、使えるかどうかも分からないし、そんなに問題ではない」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
でも、いざという時に大きな助けになるもの。
そもそも、欠勤が多いというのは感心できることではありません。
きちんと条件をクリアし、有給休暇が付与されるようにしっかりと勤めましょう。

派遣スタッフが有給申請をする先は?

さて、無事に有給休暇が付与され、いざ有給休暇を取得できる状態になったとします。
では、申請はどこにすればいいのでしょうか?
派遣先企業に直接申請するべきなのか、派遣会社にするべきなのか、迷われる方もいらっしゃるでしょう。

ここで少し、派遣という働き方について解説しておきましょう。
派遣スタッフの雇い主は、どこになるのでしょうか。
仕事をしているのは派遣先企業ですが、派遣スタッフは派遣先企業には雇われていません。
派遣スタッフは派遣会社に雇用され、派遣会社からスタッフとして派遣先企業に派遣されているのです。
つまり、雇用主は派遣会社になります。
ですから、有給休暇を使いたいときに申請をする先は、派遣会社です。
ただし、派遣先のオフィスにも「〇日に有休を申請したいのですが、お休みしても大丈夫でしょうか?」と声を掛けておくことをおすすめします。
システムとしては、派遣スタッフが派遣会社に申請し、派遣会社が派遣先企業にお休みしてもいいかを打診するのですが、一緒に働くメンバーとして、派遣先企業にも一言断りを入れておいた方が間違いありませんよね。
派遣会社が許可を出したとしても、連絡に行き違いがあったりして、派遣先企業としては「いきなりお休みされてしまった」という状況にならないように、配慮することが大切です。
仕事をする上でのマナーと考えて、きちんと両方に連絡をしておくようにしましょう。

ちなみに、派遣スタッフのお給料の支払いも、派遣会社が行います。
福利厚生や研修などの制度が利用できるのも、派遣会社のもの。
万が一、派遣先企業とトラブルがあった場合も、派遣スタッフが相談すべき相手は派遣会社です。
派遣先企業に直接相談したり、契約内容の交渉をしたりしてはいけません。
これは、派遣会社と派遣先企業の信頼関係にも関わる、大切なマナー。
派遣スタッフ一人の失礼な行いで、派遣会社がクライアントを失うようなことがあっては大変です。
大げさではなく、派遣スタッフの行いで今後そのクライアントからお仕事をもらえないようなことになっては、派遣会社としては大きな痛手ですよね。
そういった事態が起こらないように、派遣登録説明会の際には細かく「派遣」という就労スタイルに関するガイダンスが行われるのが一般的となっているのです。

派遣スタッフは、あくまで派遣会社のスタッフであるということを認識して、動くようにしましょう。

派遣スタッフの有給休暇のお金は派遣元と派遣先のどちらが持つ?

派遣スタッフの有給休暇中のお給料は、派遣企業と派遣先企業のどちらが支払ってくれるのでしょうか。
先ほどの話を考えれば、答えは簡単。
派遣会社が、有給休暇中の派遣スタッフの給料を支払います。

とはいえ、派遣スタッフがお休みをして人手が不足するのは、派遣会社ではなく派遣先企業です。
先ほども少し触れましたが、休暇を申請したいと思ったら、派遣されている先の仕事の状況を考え、自分がお休みすることで周囲に極力迷惑を掛けないように充分配慮しましょう。
こういった配慮は、派遣スタッフであっても、正社員であっても同様に大切なもの。
有給休暇取得は労働者、つまり派遣スタッフにとっても間違いなく権利です。
ただ、周囲に対する配慮に欠けるような取得の仕方をすると、その後の関係性にも問題が生じることは想像できるでしょう。
派遣会社としても、マナーを守って派遣スタッフには活躍して欲しいと考えていることは、間違いありません。
息の長い派遣スタッフとして活躍し続けるためには、周囲のことを考えて行動をすることが大切です。
日程の調整がきちんとできていて、仕事などの引継ぎも問題なく済ませていれば、基本的に有給休暇の申請がNGになるようなことはありません。
有給休暇などを気持ちよく使えるように、日ごろから派遣会社、そして派遣先企業と良好な関係を築けるように過ごすことが大切といえるでしょう。

派遣スタッフがもらえる有給休暇の消化日数は何日?

フルタイム勤務の派遣スタッフの場合、6ヶ月継続して勤務をすると付与される有給休暇の日数は10日となります。
翌年以降は1年単位での評価となり、付与される有給休暇は11日、12日と増加。
上限は20日となっています。

ただし、満額付与されるためには「1週間の所定労働時間が30時間以上の労働者」「1週間の所定労働日数が5日以上の労働者」いずれかひとつの条件を満たすことが必須となっています。
ただ、派遣スタッフの場合、上記条件を満たすのは難しいため、それをカバーするために「年次有給休暇の比例付与」という制度が存在します。
年次有給休暇の比例付与とは、所定の労働日数が週3日や週4日であったとしても、その日数に対応する年次有給休暇を付与されるというもの。
例えば週4日勤務の場合、付与される有給休暇は7日、週3日勤務の場合は5日、週2日の場合は3日、週1日の場合は1日となります。
有給休暇自体は少なくなってしまいますが、有給休暇の権利を行使できるというのはありがたいですよね。
そして、この場合も同様に、翌年以降は付与される有給休暇は増加していきます。

派遣先が変わった場合の有給休暇の消化日数はどうなる?

有給をせっかく取得したのに、それを使うことのないまま契約が満了となってしまったとします。
間を空けずに次の職場を紹介してもらい、お仕事がスタートした場合、使わないままになっている有給休暇はどうなるのでしょうか。
新しい職場で、再び取得するための条件を満たさなければ、付与されないのでしょうか。

結論からいうと、派遣会社が変わらないままであれば、有給休暇はそのまま継続して利用することが可能です。
派遣スタッフとして「A」という企業で6ヶ月勤務し、有給休暇が6日付与された状態でそのまま契約満了となったとします。
すぐに「B」という企業に派遣されることになった場合は「A」で取得した「有給休暇6日」は、そのまま権利として残るということです。
せっかく付与された有給休暇が「B」に勤務することになってから有給休暇0日でスタートするというのは悲しいですよね。
そうはなりませんから、安心してください。

ただ、いくら有給取得条件をクリアし、有給休暇が付与されているからと言って「B」に勤め始めてすぐに有給休暇を使うというのは周囲からすると「新しくきたばかりなのに」という目で見られかねません。
急な体調不良や、家庭の事情であれば、もちろん仕方がありません。
ですが、そうでない場合はある程度、信頼関係が構築できてから申請することをおすすめします。

最後に、有給休暇には「時効」というものが存在することをご存知ですか?
有給休暇は、2年で失効してしまいます。
すべて使い切ることもありませんが、使い惜しみしすぎて失効してしまっても残念なもの。
仕事の状況をよく考えながら、上手に利用できるようにしましょう。

そしてもう一つ、注意すべき点があります。
ごくまれに、派遣会社が変わっても、派遣先企業が同じというケースが存在します。
この場合、有給休暇の権利は失効してしまうということを理解しておきましょう。
新しい派遣会社で、有給休暇取得条件をクリアして、初めて付与されます。
派遣先企業が同じだと、派遣会社が変わっても有給休暇が残っているような感覚に陥りがちですが、6ヶ月間所定労働日数の8割以上を出勤しなければ、有給休暇を得ることができません。
勘違いしないように、注意しましょう。

派遣会社の契約満了や退職時に有給休暇日数が残っていたらどうすればいい?

派遣スタッフが契約満了し、退職をする際に「有給休暇が消化しきれず、残ってしまった」というケースは、比較的よくあるのではないでしょうか。
せっかく付与された有給休暇ですから、無駄にしたくないという思いはありますよね。
そんな時は、どうすればいいのでしょうか。

まず、次の派遣先企業が契約満了の1ヶ月以内に決まる場合は、基本的に有給休暇はそのまま残しておくことが可能だということを覚えておきましょう。
これは、先ほどご紹介したケースとなりますね。

次に、契約満了で退職し、次のお仕事がなかなか決まりそうにない場合や、他の派遣会社のお仕事が決まっている場合について、みていきましょう。
そういった場合は、残ってしまった有給休暇はどのようになるのでしょうか。
他の派遣会社のお仕事が決まっている場合、有給休暇が残っていたとしても、それを次の職場で使うことはもちろんできません。
残念ながら「消失」してしまうケースが多いようです。

「せっかくの有給休暇だから、消化したい!」という思いは分かります。
では、残り1ヶ月や3ヶ月となった派遣期間で、有給休暇を消化するということは可能なのでしょうか。
権利という意味では、可能です。
ですが、残りわずかな派遣先での就業中に、有給休暇をすべて消化するというのは、あまり印象のいいものではありません。
常識の範囲内で、有給休暇を消化できるように派遣会社に相談してみるというのも、一つの方法でしょう。
派遣先企業の業務が落ち着いていて、お休みをとっても迷惑にならない時期だったら、数日分は消化できるように相談に乗ってくれるケースもあります。
ただ、残り1ヶ月や3ヶ月の勤務期間で有給休暇10日全てを消化しようとする行いは、派遣会社にも、派遣先企業にもあまりよい印象にはならないというのは、想像できるのではないでしょうか。
あくまで「相談」というスタンスで、派遣会社に問い合わせることから始めることをおすすめします。

有給休暇をきちんと消化して退職したいと考えているなら、有給休暇が付与されたら定期的に利用するように心がけることをおすすめします。
その場合も一方的ではなく、派遣先企業の状況などを十分考慮した上で申請することが大切です。

派遣スタッフの有給休暇が使える期限はいつまで?

派遣スタッフに限らず、有給休暇には「時効」が存在します。
付与されて2年以上経過した場合、消失してしまうのです。
例えば、10月1日に入社し、6か月後の4月1日に10日の有給休暇が付与されたとしましょう。
そうすると、その翌年の4月1日には再び11日の有給休暇が付与されることになります。
前年度の有給休暇が5日残っていたとして、この5日は繰り越しとなります。
それに、11日プラスされますから有給休暇は16日となるのです。
その後、4日有給休暇を利用し、さらに一年後の4月1日には新しく12日の有給休暇が付与されます。
そうすると、1年目の有給休暇が1日、2年目の有給休暇が12日残っているのにプラスして、新たに12日付与されることに。
ただ、ここで「時効」が発生するため、合計で24日の有給休暇とはなりません。
初年度に付与された1日は、時候のため消失してしまうのです。
よって、有給休暇は23日となります。
有給休暇は、付与されてから2年以内に使わないと時効となってしまうということを理解しておきましょう。

派遣スタッフがバックレたり不祥事でクビになった場合に余っていた有給休暇分はどうなる?

決して行ってはいけないことですが、派遣スタッフが突然職場に行かなくなる、いわゆる「バックレ」をした場合、残っている有給休暇はどうなるのでしょうか。
バックレというのは、派遣会社にも、派遣先企業にも何の相談もなく突然職場に行かなくなるような事態を指します。
つまり、無断欠勤をするということ。
そのような状態でクビになった場合は、有給休暇を利用することはできないでしょう。
即契約終了になってしまうことも、充分考えられます。
そうなると1ヶ月以内に次の職場を同じ派遣会社から紹介してもらわないと、有給休暇は消失してしまいます。
ですが、バックレて迷惑を掛けた派遣会社から、次の職場を紹介してもらうことはできるでしょうか。
常識的に考えると、もう二度と仕事をもらうことはできないと考えたほうが無難でしょう。
有給休暇は働く人、つまり労働者の権利です。
ですが、労働者とはきちんと勤め、その義務をまっとうしている人のこと。
きちんと義務をまっとうしていないのに、権利だけ主張することはできません。
バックレてしまった場合は、有給休暇は諦めたほうがいいでしょう。
不祥事でクビになった場合も、同様です。
派遣会社や、派遣先企業に迷惑をかけての退職となりますから、有給休暇のことをどうこう言える立場ではありません。

「権利」という意味に限定して考えると、契約満了前の退職は会社都合に当たることもあり、休業補償を派遣会社に求めることも可能です。
ですが、バックレた上での退職や、不祥事でクビになったような派遣スタッフがそのような要求をするのは、現実的ではありません。

バックレをしたり、不祥事でクビになった派遣会社からは、次のお仕事を紹介してもらうのは難しいでしょう。
だから、と割り切って行動を起こすのか、それとも迷惑を掛けてしまったことを反省して動くのかは、その人の考え方次第。
ただ、バックレるというのは、社会人としてあるまじき行為です。
いかなる理由があっても、誉められたことではありません。
派遣会社は、派遣スタッフを「自分の会社のスタッフとして、クライアントである派遣先企業に紹介できる信頼に値する人物」と評価し、その上で紹介しています。
その信頼を、裏切る行為となるのです。
お仕事を紹介してもらうことができたら、責任をもってしっかりと勤めるようにしましょう。
それでも「どうしても職場が合わない」「仕事が不向きだ」と感じることがある場合は、次の契約更新前の面談で派遣会社に「次は更新しません」と告げればいいのです。
少し我慢することでルールに則った退職をすることができ、派遣会社にも、派遣先企業にも迷惑を最小限で食い止めることができます。
社会通念上認められるような理由でイレギュラーなタイミングでの退職を希望する場合は、派遣会社にまず相談をすることから始めましょう。

有給申請しても希望が通らなかったら

有給休暇は、働く人の権利です。
条件を満たしていれば、派遣会社から有給休暇が付与されるというのは、定められているルール。
先ほどもご紹介した通り、フルタイムでなくても一定の条件を満たせば、日数は少なくても有給休暇は与えられるものなのです。

万が一、派遣会社が有給休暇を付与してくれない場合は、労働基準法違反となります。
違反が認められた場合、使用者である派遣会社は6ヶ月以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金が科せられることになるということを、知識として知っておきましょう。

病気や冠婚葬祭でなくても有給休暇は使える

有給休暇は、働く人すべての権利です。
条件をクリアしていれば、いかなる理由でも有給休暇を取得することはできます。
ですが、何となく「どうしても休まなくてはいけない」という場合以外、有給休暇を申請しにくいと感じている人も多いようです。
基本的には、有給休暇を取得する理由を派遣会社や派遣先企業に説明しなくてはいけないという義務は、労働基準法上存在していません。
ただ、一緒に働く人たちに対して「理由もなくだとお休みにくいから、明確な理由を伝えなくては」と考える方も多いようです。
それを、一緒に仕事をする方たちに対するマナーと捉えることは、悪いことではありません。
ですが、そういった考えに縛られて、有給休暇を使えないままになってしまうというのは、もったいないもの。
有給休暇を申請したいと思ったら、自分が欠勤しても周囲に迷惑を掛けないように、仕事を前倒するなど調整しておくようにすることが大切です。
その上で、先ほども述べたように派遣会社に申請し、派遣会社から派遣先企業に確認してもらいましょう。
OKが取れたら、派遣先のオフィスの人たちにも「〇日に、お休みをいただきます」と伝えておきます。
そうすることで、派遣先企業で一緒に働くメンバーとも、良好な関係を築くことができるでしょう。
いくら申請し、許可を得ているからといって、当日突然休んだような印象を周囲に与えてしまうのは、これから先もその職場で仕事を続けていくのにマイナスにしかなりません。

また、どうしてもという理由でない有給休暇の取得があまりにも頻繁な場合、あまりよい印象を残すことはできないということも理解しておきましょう。
有給休暇は権利ですが、良識の範囲で使うことが大切です。
派遣スタッフは、派遣会社に雇用されています。
そして、派遣会社のスタッフとして派遣先企業で仕事をしています。
ですから、派遣先企業によくない印象を持たれてしまっては、派遣会社としても困ったことになるのです。
派遣スタッフは、契約が満了すれば派遣先企業からは離れることになります。
ですが、派遣スタッフとして継続して仕事をすることを望んでいる場合、派遣会社とは可能であれば長いお付き合いをしたいと考えている方がほとんどでしょう。
派遣会社がどんな派遣スタッフと長く付き合いたいかを、考えてみてください。
やはり、派遣先企業でしっかりと仕事をし、そのオフィスの方たちと円滑なコミュニケーションを図ることができるということは、大切なポイント。
良識的な有給休暇の取得というのも、その一つといえるでしょう。
派遣先企業、派遣会社によい印象を残すことは、派遣スタッフとして仕事を続けるためは重要な姿勢となります。
そういった姿勢を示す一つのポイントと考えて「当たり前の権利」として行使しすぎないよう注意しましょう。

理由が何でも有給休暇を拒むことはできない

ちなみに、有給休暇はどのような理由で申請をしても、派遣会社側としては拒否する権利はありません。
ですが、雇用主である派遣会社は「時季変更権」というものを持っています。
同じ日に複数の社員が休むことがすでに決まっている場合や、有給休暇を申請したスタッフにしかできない仕事があり、どうしても休まれてしまうと困る場合など、派遣スタッフが休むことで業務が著しく滞るような場合に、有給休暇の日にち変更する権利です。

ここで一つ覚えておきたいのは「業務が著しく滞る」というのは、派遣先企業の業務ではなく、派遣会社の業務が該当します。
派遣会社は繁忙期ではないのに、派遣先企業は繁忙期、ということはよくあること。
であれば、有給休暇申請時に、派遣会社が繁忙期でなければ有給休暇は通ってしまうのでしょうか。
そうなると、派遣先企業の業務は滞ってしまいますよね。
そうならないように、派遣会社は派遣先企業に申請し、許可を取る必要があるのです。
派遣先企業は「時季変更権」を行使することはできませんが、派遣会社を通して実質的に同様の主張をすることはできるといえるでしょう。

理由がどういったものでも、派遣先企業及び派遣会社は有給休暇を拒否することは基本的にできません。
ただ、有給休暇の取得には会社との合意が必要となります。
「法律上は問題ないはずだから」と派遣スタッフが希望を押し通すことも、できなくはないでしょう。
ですが、そこまでして希望を無理に通すことは、これから先も派遣スタッフとして仕事を続けたいと考える人にはマイナスにしかなりません。
派遣会社、派遣先企業、派遣スタッフ、それぞれが良好な関係を構築するために、お互いに配慮しあう姿勢が大切です。
それぞれに良い印象を持ってもらうこと、信頼できるスタッフとして評価してもらうことが、派遣スタッフとして長く活躍するためには必要なポイント。
そのような評価をしてもらうためには、どうすればいいか――よく考えて行動するようにしましょう。

ここまでの内容を元に派遣スタッフが上手に有給休暇を使うコツについてアドバイス

「派遣スタッフも、有給休暇を取得することができる」ということが、お分かりいただけたでしょうか。
ただ、派遣スタッフは派遣先企業や派遣会社にとって評価される派遣スタッフであることが求められる立場です。
「派遣スタッフとして仕事をしたい」と考えている人は、数多くいます。
ライバルが多い立場だと考えたほうがいいでしょう。
せっかく満足のいく職場に派遣してもらい、仕事をすることができているなら、その職場で長く仕事をしたいですよね。
そのためにもしっかりとルールを順守し、マナーを守って有給休暇を取得するようにしましょう。

派遣会社のスタッフも、派遣先企業の方も、人間です。
人と人との関わりが存在する以上、気持ちよくやりとりできるように努力することも、大切なポイント。
お互い気持ちのよい関わりをしていくように、心がけましょう。
それが、有給休暇を上手に使うコツにつながるのです。

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