個人事業主が掛け持ちで派遣社員を兼業して働くことはできるのか?
今年も、憧れのフリーランス、個人事業主としてデビューを果たした方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、個人事業主の辛いところ、それは安定した収入が約束されていないところ。「今は順調だけれど、このままうまくいくのかな」という声も、よく耳にします。
そういった不安をクリアにするために「安定した収入を得ながら、個人事業主としても仕事を継続したい」と考える方も多いようです。
そのように考えた時に、業務の内容が限定されていて、プライベートと仕事を両立させたいと考えている人に人気の「派遣」という働き方は、非常にメリットの大きな働き方のように思えます。
ですが、個人事業主と派遣を兼務して仕事をすることに、問題はないのでしょうか。今回は、個人事業主が掛け持ちで派遣社員として仕事をすることはできるのか、徹底調査します!
「個人事業主」と「派遣」は働き方が違うから問題なし!
個人事業主とは、フリーランスとして独立開業している人ということになります。保険関係や税金の支払いなどはすべて自分が行う必要があり、会社勤めよりも収入がアップする可能性ももちろんあります。
ですが、場合によっては収入が低迷してしまうことも。不安定さは否定できない働き方ですので、心のどこかに不安がいつもあるというのが、個人事業主の正直な気持ちではないでしょうか。
それに対して、派遣スタッフとして働く場合は派遣会社と雇用関係を締結することになります。いわゆる『労働基準法』に則った契約を結ぶことになるのです。
社会保険加入や労働時間制限など、派遣スタッフはさまざまな制度に守られて仕事をすることができるということになります。
収入的にアップダウンがある「個人事業主」と、有期雇用契約とはいえ、派遣会社のスタッフとして一定期間安定した収入を得ることができる「派遣」という働き方。
このふたつの働き方は、個人で働くか、会社に守られて仕事をするかが大きく異なるポイントとなるのです。
個人事業主が派遣社員を掛け持ちしての兼業はできるのか?
「個人事業だけでやっていくのは、少し不安」「安定した収入を確保するために、派遣としても仕事をしたい」個人事業主として仕事をはじめ、閑散期になるとそんなことを考える方もいらっしゃると思います。
会社員の場合「副業禁止」などと決められているところもありますから、個人事業主と派遣を両立させて法律的に何か問題が発生するのではないかと心配になりますよね。実際のところ、そういった働き方は可能なのでしょうか。
個人事業主は、どこにも雇用されていない状態となります。ですから、派遣スタッフとして派遣会社に雇用されたとしても、特に問題は発生しません。つまり、派遣として勤務をしながら、個人事業主として仕事をしても大丈夫ということになります。
ただ、派遣という働き方について、多少知識を持っておいた方がいい点はあります。まずは、派遣という働き方について簡単に説明してきましょう。
派遣には「一般登録型派遣」と呼ばれる働き方と、「常用型派遣」の二種類があります。まずは、この二つの働き方について説明します。
一般登録型派遣
「一般登録型派遣」は、派遣先企業が決まり、就業している期間だけ派遣会社と派遣スタッフの間に雇用関係が発生する形となっています。
派遣期間が終わると、派遣会社との契約もいったん終了となります。「派遣の登録が削除されてしまうの?」と不安に思われるかもしれませんが、そういう訳ではありません。
派遣会社の登録自体は継続しますが、一般登録型派遣の場合、契約は一つの契約が満了するたびに一度切れるということを理解しておきましょう。
同じ派遣会社から、また新しい職場を紹介されてお仕事をスタートさせることになった場合は、派遣会社と改めて雇用契約を結ぶ必要があります。
テレビは雑誌などでよく目にする「派遣」は、基本的にこの一般登録型派遣を指していることが多いといえるでしょう。
常用型派遣
「常用型派遣」と呼ばれる派遣についても、簡単にご説明しましょう。常用型派遣は、派遣会社の社員として派遣会社が常に雇用している社員を、派遣先企業に派遣するというスタイルになります。
一般登録型派遣との一番の違いは、派遣先企業との契約期間が終了したとしても、派遣会社と派遣スタッフの雇用契約は継続しているということ。雇用契約を保持したまま、新たなる派遣先企業に派遣されます。
万が一、新たなる派遣先が見つからなかったとしても、次の派遣先企業が見つかるまで給与は支払われることになります。
このような契約は、派遣スタッフとして仕事をするとしたら、かなりありがたいもの、魅力的なものと言えるのではないでしょうか。ですが、仕事をしていない期間も給与の支払いをしなくてはいけない「常用型派遣」という働き方を、なぜ派遣会社は採用しているのでしょうか。
実はこの常用型派遣は、派遣会社としてもメリットの大きい雇用の仕方なのです。本音を言えば、派遣会社としても専門性の高いスタッフは常にキープしておきたいという思いがあります。
優秀な人材をいつでも柔軟に活用できる状況にしておくために、常用型派遣として契約をしておきたいというのが、正直なところといえるでしょう。常用型派遣のスタッフは、経理や事務をはじめ、研究機関や情報技術メーカー開発部門、設備工事管理、生産管理といった専門知識が求められる派遣先企業へと派遣されます。
高齢化社会が進む日本においては、医療福祉系の専門知識とスキルを持つ派遣スタッフを常用型派遣として抱えている派遣会社も多くあります。スキルや知識、資格などを保有し、人材として魅力的な派遣スタッフを、常用型派遣という形をとることで、派遣会社は確保しておくことが出来るのです。
個人事業主と兼業できるのは働き方に自由が利く「一般登録型派遣」
個人事業主として仕事をしながら派遣と兼務したいと考えた場合、一般登録型派の派遣を選ぶことになるでしょう。一般登録型派遣として仕事をしたいと考えた場合、どのような流れになるのでしょうか。
まずは、派遣会社に登録をすることから始まります。ここでは簡単に、派遣登録方法についてご紹介します。
派遣会社への登録の流れ
まずは、派遣会社のホームページ上にある「WEBエントリー」を行うことからスタートします。WEBエントリーが完了すると、登録メールアドレス宛に本登録用のURLが送付されますので、そのまま本登録へと進みます。
本登録が完了すると、派遣会社から「派遣登録説明会」の案内が届きますから、自分の予定と調整をして、派遣登録説明会を予約しましょう。
派遣登録説明会は、基本的に派遣会社のオフィスで行われます。個人事業主の場合、普段ラフな服装や、こだわりをもったスタイルのお洒落を楽しんでいる方が多いので、派遣登録説明会時には「どんな服を着ればいい?」と迷われる方もいらっしゃるようです。
派遣登録説明会は、派遣会社のオフィスで行われるのが一般的です。ということは、オフィスにいても特別目立たない、オフィスカジュアルを心がければ問題ないということがいえるでしょう。
ダメージジーンズやサンダル、肌の露出が多いもの、強すぎる香水や濃いメイクは避けましょう。スーツでなくても構いませんが、スーツに準ずるようなきれいめカジュアルスタイルで挑むことをおすすめします。
派遣登録説明会の内容としては、派遣という働き方についての説明から始まり、簡単なスキルチェック、面談を実施します。WEBエントリー後には、多くの派遣会社で「マイページ」というものが開設できるようになります。
マイページに学歴や職歴、希望条件などをあらかじめ入力しておくと、派遣登録説明会当日はその手間を省くことが可能です。時間短縮につながるだけでなく、希望条件や自己PRなど、じっくりと考えたいような内容を派遣会社のオフィスで入力すると、自分が思うようなものに作り上げることができないことも考えられるでしょう。
あらかじめ、ゆっくりと時間が取れる環境で入力しておくことで、自分の希望やスキルなどをしっかりと派遣会社に伝えることができますから、基本情報については出来るだけ事前に登録しておくことをおすすめします。
スキルチェックに関しては、それほど難しいものは出題されないと考えていいでしょう。基本的なPCスキルを確認するものや、ビジネスマナー、一般常識のテストが行われます。
最後に、いざ面談です。個人事業主と兼業する場合、この面談が一番の悩みどころといえるのではないでしょうか。「個人事業主であることを明かしても、問題ないのか」そう不安に感じる方も、多いと思います。
個人事業主でも派遣登録OK!
結論から言うと、個人事業主であることを明かしたとしても、派遣登録ができないということはまずありません。個人事業主である時点で、ある程度仕事に責任を持って取り組んでくれる人と評価される側面もあります。仕事に対して真摯に取り組んでくれる人に違いないと評価される点においては、メリットが大きいといえるでしょう。開業届を税務署に提出し、開業していたとしても、問題はないということなのです。
派遣の仕事は、それまでの職歴や経験をベースに、仕事を紹介してもらうシステムとなっています。仕事紹介はあくまでキャリアに基づくものであり、兼業であることが理由でお断りされることはまずありませんから、正直に伝えるようにしましょう。
個人事業主は、一人ですべてを切り盛りしている人物、という評価になります。仕事の厳しさも、仕事のありがたみも充分に理解している人物であるに違いないと派遣会社に判断されることは、プラスにこそ作用すれど、マイナスになるということはあまり考えられません。
では、逆に個人事業主であることのデメリットは、どのようなものがあるのでしょうか。デメリットとしては、一般的な派遣スタッフと比べると、本業を持っている分稼働できる時間が制限されてしまうのではないか?と心配されてしまうところと言えるでしょう。
また、本業の繁忙期と重なってしまった場合、派遣業務をおろそかにするのでは?という心配をする派遣会社も存在するようです。そういった派遣会社サイドの不安も、理解できますよね。
不安を払拭できるよう、お仕事を依頼されたらしっかりと勤務し「やはり個人事業主メインで生きている人は、仕事に対する姿勢がきちんとしている」と信頼してもらえるようにしましょう。
時間的な問題に関しては、本業がある以上はある程度仕方がありません。派遣会社とよく相談し、迷惑を掛けることがない時間帯で希望を出すことが基本です。フルタイム勤務を希望する人とは違い、短い時間、少ない日数での派遣を希望するとなると条件的にやや厳しいものとなります。
すぐにお仕事を紹介してもらえるとは、考えない方がいいでしょう。時間を掛けて、条件にあう仕事を見つけられるようにゆっくりと待つスタンスでいることをおすすめします。
本業の繁忙期と重なってしまった場合も、派遣勤務時間はしっかりと派遣としての仕事をまっとうすることが必須です。
きちんとけじめをつけ、与えられた仕事をしっかりとこなすことで、派遣会社とも信頼関係を構築することができ、お仕事もたくさん紹介してもらえるようになります。
まずは「信頼して、派遣先企業に紹介することができる人材である」と派遣会社に思ってもらえるように、引き受けた仕事はしっかりと、丁寧にこなすようにしましょう。
個人事業主と派遣を上手に両立するコツ
個人事業主が派遣として仕事をする場合、一番問題になるのは本業と派遣としての仕事をしっかりと両立させることができるか、ということ。本業に差し障りが出てももちろん困りますし、かといって派遣の仕事をおろそかにするのはもってのほかです。両方の仕事をきちんと行うためには、どのような工夫をすればいいのでしょうか。
本業の閑散期に稼ぐ!
例えば、本業の繁忙期を除いて、比較的閑散期となる時期に派遣として仕事をするという方も多いようです。シーズンごとに忙しい時期が予測できる仕事をしている場合は、閑散期に仕事ができるようあらかじめ派遣会社に登録し、事情を説明の上希望条件を出しておきましょ。その上で、閑散期前になったらお仕事情報をチェックし、希望に近いものがあったらエントリーします。
週3日勤務で安定収入を
「本業のほうで、繁忙期も閑散期もそれほどない」という場合は、本業と予定を調整して週に3日は派遣スタッフとして勤務をするという働き方を選ぶこともできます。週に3日派遣スタッフとして仕事をすれば、ある程度安定した収入が期待できます。ただ、派遣の場合は基本的に有期雇用となっていますから、契約が満了した後次の仕事がすぐに見つかるとは限らないということを理解しておきましょう。
個人事業主の場合は、一般的な派遣スタッフよりも本業という柱がある分、仕事と仕事の間が多少空いてしまっても気持ち的には余裕があるかもしれません。とはいえ、長く間が空いてしまうのは、できるだけ避けたいもの。そんな時には、どのような対処法があるのでしょうか。
土日勤務が可能なのは派遣スタッフとして強みに
家庭の状況にもよりますが、個人事業主としてある程度スケジュールを調整できる場合「土日は出勤できます」という形で登録しておくのも一つの方法です。やはり、土日は休みたいという人が多いため、人員が不足しがちな面も。
そういった時に、土日だけでもスポット的に出勤してくれる人材というのは、とてもありがたがられる存在となります。「平日は出られないけれど、土日はOK」という条件の出し方も、ひとつの有効な方法といえるでしょう。
複数の派遣会社に登録しておくべし
個人事業主が派遣スタッフの仕事を兼業しようと思ったら、派遣登録をする際にいくつかの派遣会社に登録しておくことをおすすめします。最初の1社で決めてしまってもいいのですが「この期間限定で仕事をしたい」「週3日までしか勤務ができない」など、フルタイム勤務できる他の派遣スタッフと比べると条件は厳しいものとなります。
そんな時に、出来るだけ期間を空けずに仕事を続けるためには、いくつかの派遣会社に登録しておいたほうがいいでしょう。求人情報量が多ければ多いほど選択肢は増え、お仕事と出会うチャンスは増えます。登録する際には、多少の手間はかかりますが、一度登録しておけば今後「派遣の仕事を探したい!」となった時にとても楽なので、おすすめです。
かといって、むやみやたらに登録するのは個人情報の観点からも、不安が残ります。派遣会社選びの第一歩として、自分が希望する業界に強い派遣会社かどうか、希望する働き方が可能かなどをしっかりとチェックしましょう。
そして、その派遣会社のクチコミや評判も見ておきます。その上で、厳選した派遣会社に登録するようにすれば、いざお仕事の依頼を受けた際にも安心してお仕事スタートすることができるでしょう。
個人事業主が派遣で働くうえで違法なケースはあるか?
個人事業主が派遣と兼業で仕事をする場合、何か注意すべき点はあるのでしょうか。
一番怖いのは、気づかないうちに違法なことをしてしまうケース。ですが、法律上は複数の業務を行っていたとしても、問題はありませんので安心してください。
ただ、派遣会社が「専業」であること、つまり派遣社員としての仕事以外の仕事と兼業することを許していない場合は、兼業することはできません。
「派遣」という働き方は、仕事だけでなくプライベートやプラスアルファのさまざまな時間を大切にしたい人が選ぶ勤務形態となります。
「自分の時間を大切にするために派遣を選ぶ」というのは、比較的よく耳にする話。ですから、ほとんどの派遣会社では基本的に兼業は認められています。「個人事業主と兼業したい」と正直に伝えても、基本的に問題はないでしょう。
むしろ、派遣登録の際にその事実を隠しておくというのは感心できません。自分にとっても、派遣会社にとってもお互いの状況を的確に把握しておくことは、大切なポイントとなるのです。
個人事業主が派遣会社から得た給料と合わせた税金はどうなる?
個人事業主と兼業で派遣としてお給料をもらっていた場合、税金はどうなるのでしょうか。税金関係の問題は分かりにくいことが多く、漠然と難しそう、ややこしそうというイメージが先行してしまいがち。
ですが、実際は思っているほど難しいものではありません。個人事業主として仕事をしていく以上、避けて通れない道。派遣と兼業となれば、税金に関する知識はあったに越したことはありません。いい機会だと思って、概要だけでもしっかりと理解しましょう。
税金の基礎知識
私たちが納めなくてはいけない基本的な税金は「所得税」と「住民税」のふたつです。固定資産を保有している場合に支払う固定資産税をはじめ、自動車税やたばこ税、事業所得によっては納税の必要がある消費税は、ここでは除きます。まずは所得税について、詳しく見ていきましょう。
所得税について
派遣として仕事をしていた期間の所得税に関しては、派遣会社からすでに徴収されていますので、特に届け出などは必要ありません。個人事業主としての収入に関しては、税金に関する手続きをし、必要に応じて過不足を生産することになります。詳しくは、確定申告についての項目でご説明します。
住民税について
住民税については、過去1年(1月1日〜12月31日)に得た所得から算出されます。
一般的に、都・道・府・県民税及び市町村民税をあわせて「住民税」と呼ばれていることを覚えておきましょう。住民税の税額は、市区町村が算出して課税する「賦課課税方式」となっています。
税額の決定について、詳しく見ていきましょう。税額は、大体毎年1月から3月の間に決まります。個人事業主の場合は確定申告を行い、そちらをベースに算出され、決まります。
確定申告書には住民税に関する項目がありますから、そちらに記入して提出しましょう。
このようにして決められた納税額について、個人事業主の場合は直接個人に宛てて決定通知書と納付書が送付され、一括または年4回に分けて納付していくことになるのです。
派遣スタッフの場合は、どのような流れになるのでしょうか。派遣スタッフの税額は、派遣会社から市区町村役場に給与支払報告書が送付され、それをベースに算出されます。税額が決定すると派遣会社に決定通知書と納付書が送付され、原則として毎月給与から天引きする形で納めていきます。
個人事業主と派遣スタッフ、兼業している場合に関しては、個人事業主分の税金は個人で支払い、派遣として仕事をしている分は派遣会社から納められる形となります。ですが、たとえば閑散期のみ派遣として仕事をしている場合は、納税時期に派遣会社に雇用されていないことも考えられますよね。そういった場合は、個人宛てに納付書が送付されてくることになります。
所得税は今年の所得に対して掛けられるものとなりますが、住民税は前年度分の所得に対して掛けられるもの。そうなると、現在個人事業主の収入がほとんどないような状況であっても、前年収入があった分支払わなくてはいけません。
そういった可能性も考えて、税金分はよけておくことをおすすめします。いざ、支払い時期に「手元にお金がない」となってしまっては、大変です。
それでは、先ほどから何度も言葉が出てきている「確定申告」について、詳しくみていきましょう。確定申告は、税金の額を決めるために必要な手続きとなります。
個人事業主が派遣会社と兼業で得た収入の確定申告方法
個人事業主と派遣の兼業で収入を得ている場合は、確定申告の必要があります。まずは、確定申告について簡単に説明しましょう。雇用されて実際に労働することにより給与を得ているのが、給与所得者となります。
給与所得者は、毎月給与から定められた所得税が差し引かれていることをご存知ですか?これは、給与の支払者である企業があらかじめ所得税を天引き徴収して、国に納付しているからです。
これを「源泉徴収」といいます。
ただし、源泉徴収は概算ベースで行っているため、過不足が発生するケースも。そういった差額を生産するために、1月1日から12月31日の1年間で収入から経費を引いた所得を計算し、清算するのが「確定申告」や「年末調整」となります。
所得税は、課税所得金額に税率を掛けて算出します。課税所得金額とは、収入金額から所得控除額を差し引いたもの。となると、控除されるものはどんなものなのか、気になりますよね。
控除対象となるものは社会保険料、生命保険料、地震保険料の他、配偶者や扶養家族がいる場合には一定の所得控除を受けることが可能です。
所得控除を受けることで、課税所得金額を抑えることができます。課税所得金額を抑えるということは、所得税が還付される可能性があるということ。派遣スタッフとして仕事をしている場合は、派遣会社が年末調整の手続きをしてくれますので、11月頃に提出が求められる年末調整書類を提出すれば、お任せしておいて大丈夫です。生命保険や地震保険に加入している場合は、保険会社から送付されてくる書類を添付しましょう。
ただ、個人事業主と派遣スタッフの両方で収入を得ている場合は、個人事業主として得た収入に関しては確定申告が必要となります。とはいえ、個人事業主としての収入によっては、確定申告の必要がないケースも存在するということをご存知でしょうか。まずは、税金を支払う必要がない場合について、ご紹介しましょう。
個人事業主が所得税を支払う必要がない場合
個人事業主としての収入が20万円以下の場合は、税金がかかりません。本業である個人事業主としての収入が、20万円以下となるケースはあまり考えられませんが、こういった事例もあるということでご紹介しておきます。
個人事業主としての収入が20万円以下の場合は、確定申告を行う必要はないという理解で大丈夫でしょう。派遣として働いている分に関しては、先ほどもご紹介した通り派遣会社から税務署に所得税がすでに納められていますので、特に手続きは必要ありません。
個人事業主が所得税を支払う必要がある場合
個人事業主が所得税を支払う必要があるのは、どのような場合でしょうか。個人事業主としての収入が20万円以上である場合は、所得税を支払う必要が出てきます。ただし、個人事業主として報酬の支払いを受けている会社が源泉もしくは所得税をあらかじめ税務署に支払っているケースもあります。その場合は、確定申告時に源泉徴収票を添付するようにしましょう。そうすることで、場合によっては還付金が戻ってくることもあります。
所得税は今年の所得に対して掛けられるもの、住民税は前年度の所得に対して掛けられるものという違いがあります。個人事業主として仕事をしていた人が今年から派遣の仕事を始めた場合、所得税は今年の所得、つまり派遣スタッフとして得た給与と個人事業主として仕事をした所得の合計に掛かり、住民税に関しては前年度となりますから個人事業主として仕事をして得た所得にかかるということになります。
継続して同様の働き方をすると、翌年以降は所得税も住民税も派遣スタッフと個人事業主、両方で得た所得の合計に掛かる計算となるのです。収入がアップした分、税金も上がってしまうことを覚悟しておいた方がいいでしょう。
個人事業主が派遣社員と兼業している場合の社会保険や失業保険はどうなる?
個人事業主が派遣スタッフとして仕事をしている場合、社会保険や失業保険はどのようになるのでしょうか。
日本の社会保険制度においては、個人事業もしくは会社、派遣スタッフの場合は派遣会社の社会保険どちらかひとつにしか加入できないという決まりがあることをご存知ですか?
派遣スタッフの場合は、ある一定の条件を満たした場合は健康保険や厚生年金保険の加入が義務となっています。厚生年金保険には『介護保険』『雇用保険』『労働者災害補償保険』『健康保険』『年金保険』の5種類が含まれています。条件を満たした場合は、派遣会社の健康保険や厚生年金保険に加入しなければいけません。
では、加入条件とはどのようなものでしょうか。ひとつめのポイントとなるのは、雇用期間です。派遣は有期雇用というスタイルをとっていますから、雇用期間が2ヶ月以上であることが基準となります。
2ヶ月以上継続して勤務する場合は、社会保険への加入が必要となります。2ヶ月を超えて働く契約の場合は、契約初日から社会保険に加入することができます。一方、2ヶ月未満の短期お仕事の場合は、社会保険に加入することはできません。
ふたつめは、労働時間です。派遣という就労スタイルを選んだ場合、労働時間や労働日数に規定が設定されています。派遣労働者の労働時間はさまざまとなっており、週2日勤務や、午後4時までの時短勤務など、フルタイムではないケースも。
そういった時に、労働日数としては派遣元が定めた1ヶ月の所定労働日数3/4以上である必要があります。また、1週間の所定労働時間の4分の3以上を超えた場合も同様に、加入が義務付けられます。
社会保険料は、派遣会社と派遣スタッフが半分ずつ負担するシステムとなっています。派遣先企業には、派遣スタッフの社会保険料はまったく関係のない話となりますので、注意しましょう。何か相談ごとや確認事項があったら、派遣会社に直接問い合わせる必要があります。
これに対して、個人事業主の場合は、国民年金と国民健康保険に自分で加入する必要があります。会社からの補助がないため、出費としてはかなり大きなものとなります。
もし、個人事業主として仕事をしながら派遣スタッフとしても活躍していた場合で、加入義務の超える就労をした場合は、派遣会社の社会保険へと切り替えることが可能です。個人事業主としては、その期間だけでも派遣会社に半額負担してもらった状態で社会保険に加入することができるのですから、ありがたいものといえるでしょう。
個人事業主が派遣社員を兼業するメリット
個人事業主が派遣社員として仕事をするメリットには、どのような点があるのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
安定した収入が見込める
有期雇用とはいえ、雇用契約を締結している間は安定した収入を得られるというのは、大きなメリットといえるのではないでしょうか。収入はもとより、個人事業主にとってより大きな魅力が「社会保障」です。
先ほどもご紹介した通り、一定の条件を満たしていれば派遣会社の社会保険や失業保険にも加入することができます。社会的な安定を得られるというのは、個人事業主にとって大きな魅力といえるでしょう。
派遣先で受けた刺激が本業にも活きる!
個人事業主として仕事をしていると、事務所や自宅にこもって時折打ち合わせなどに出るといったスタンスになりがちなもの。そうなると、どうしても同じような毎日を過ごしてしまい、単調な生活になってしまいがち。
単調であっても、それが苦にならなければ問題ないのですが、周囲からの刺激が減ってしまうことで自分自身の成長や変化を望みにくくなってしまうケースも出てきます。派遣スタッフとしてたまには外で仕事をすることで、改めて「仕事がある」ことのありがたみを感じたり、日々人と接して働くことでリフレッシュできたりするなど、多くのメリットもあります。
また、オフィスで男女問わずさまざまな世代の人と関わることで、本業に活かせる新たなるアイデアにつながるケースも!本業にだけ集中するのはもちろん、素晴らしいことです。
ですが、お金のためだけではなく、閉じこもりがちだった自分に新しい刺激を与えるという意味でも、派遣で短期のお仕事や時短勤務というのは、大きなメリットとなるということをぜひ知っておいてください。
本業に役立つ人脈づくりにも
派遣の仕事をする際に、本業とはまったく違う分野の仕事をするというのもリフレッシュになり、いいでしょう。ですが、せっかくなら自分が身を置いているジャンルの仕事にチャレンジするというのも一つの方法です。
自分の身を置いている業界であれば、最前線の情報に触れることが出来たり、さまざまな人と知り合いになれたりとそのメリットはとても大きなものとなります。知識を深め、人脈を作り、本業にも役立てることができたら、理想的ですよね。
「本業と同じ分野の仕事を希望したら、派遣会社は嫌がるのでは?」と思われる方もいらっしゃるようですが、派遣会社はそもそも登録スタッフの経歴をベースにお仕事を紹介してくれるところです。
ですから、これまでの経験やキャリアを活かせる職場という意味で、同じ分野の仕事というのは適材適所といえるでしょう。派遣会社からすれば「即戦力として、クライアントである派遣先企業で活躍できる人材」ですし、派遣スタッフからすれば「個人事業主の畑と同じだから、仕事しやすく、刺激も受けられる!」ということになります。
これは、お互いにとって大きな魅力といえるでしょう。ただ、同じ分野で仕事をしていると「あれ、〇〇さん、どうしてこんなところで?」と知人や取引先の人とばったり出会ってしまうケースも考えられます。そういったことも理解した上で、どういった仕事をしたいか、派遣会社の方と相談して就業を目指しましょう。
派遣会社の研修制度が利用できる!
派遣スタッフとして仕事をするもう一つのメリット、それは派遣会社が設定している研修制度を利用できるということではないでしょうか。個人でスクールに通ったり、オンライン講座を受講したりするのも難しい面があります。
ですが、派遣会社が用意してくれている講座に申し込んだ場合「なんとしても受講しなくては」「きちんとスキルを習得しよう」「資格取得まで頑張らないと」と、講座に対する姿勢がより真剣なものとなります。
派遣会社の福利厚生の一環を利用させていただくのですから、個人で受講するのとは違い、結果を出さなくてはと思うのは自然なこと。そういったプレッシャーを感じながら学びの場に身を置くということは、スキルアップや知識を深める姿勢を律するものとなります。
ぜひ、研修制度を利用して、スキルアップ・キャリアアップを目指しましょう。
結局、個人事業主と派遣社員の兼業はおすすめなのか?イマイチなのか?
個人事業主として仕事をすること、派遣社員として働くこと、このふたつを両立させることができたら、それはある意味理想的な働き方といえるでしょう。本業が軌道に乗って、他に仕事をする必要がないくらいになれば、もちろん派遣のお仕事と無理に継続させる必要はありません。
ですが「もう少し収入が欲しい」という思いが出てくるような状況の場合、単なるお金稼ぎの手段としてではなく、社会とのつながりを感じ、刺激を得る手段としても派遣の仕事はおすすめです。
せっかく派遣スタッフとして仕事をするなら、条件はもちろんですがさまざまな業界を覗いてみる、経験してみるくらいの気持ちで挑戦してみるのもいいでしょう。本業につながるような仕事を経験してみるのも、おすすめです。
ただ、ひとつだけ注意しなくてはいけないポイントがあります。個人事業主も派遣スタッフも「体が資本」です。自分一人で切り盛りをする個人事業主は、自分が倒れたら事業がストップしてしまいますし、時給制で仕事をしている派遣スタッフは病欠してしまうと給与からマイナスされてしまいます。
とにかく、体を壊してしまっては、元も子もありません。仕事量を自分でしっかりと管理し、体調を崩すようなことがないようによく検討しましょう。
体調管理さえきちんとしていれば、個人事業主が派遣スタッフとして仕事をすることは経験値を積むという意味でも、収入を増やすという意味でもプラスになるでしょう。世界を広げるために、派遣スタッフとして修業してみるのもいいかもしれません。
★おすすめの派遣会社BEST5
以下、大手5社のうちから2〜3社を選んでの複数登録がおすすめです。中でも事務職系のお仕事を希望するのであればテンプスタッフ、女性向けの福利厚生制度を重視するのであればスタッフサービスがおすすめです。
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