派遣会社とハローワークどっちがいいのか徹底比較
現在、転職や就職をしたいと考える方が仕事を見つける方法としては、就職情報誌などで求人を探すほかに、ハローワークや派遣会社を利用するという選択肢があります。
今回は、この2つの違いをさまざまな方向から比較してみました。これから、仕事探しをする方はぜひ参考にしてみてください。
目次
- 派遣とハローワークは何が違うの?
- 派遣とハローワークを求人数から比較
- 派遣とハローワークを職種から比較
- 派遣とハローワークを給料面から比較
- 派遣とハローワークを福利厚生や社会保険などから比較
- 派遣とハローワークで面接や顔合わせで違いはあるのか?
- 結局、ハローワークと派遣のどっちが良いのか?
派遣とハローワークは何が違うの?
ハローワークとは、就職支援・雇用促進のために厚生労働省が設置した行政機関。正式名称を「公共職業安定所」、通称「職安」と言い、企業と求職者の橋渡しをしています。
一方、派遣会社は求職者を派遣スタッフとして雇い、人材を必要としている企業に期限付きで派遣するという雇用形態の1つで、民間の会社が派遣法のもとで運営しています。
両者は、利用方法から雇用形態まで様々な違いがあります。
1.利用方法が違う
まずは両者の利用方法から見ていきましょう。
ハローワーク
ハローワークを利用するには、まず最寄りのハローワークに出向き、「求職申込書」を記入して提出します。
求職申込書には氏名・住所などのほか職歴や希望職種、希望給与などを書き込みます。窓口担当者に提出すると、記載内容の確認を行い「ハローワークカード」が発行され、相談や求人紹介、求人を検索できる端末が利用できるようになります。
また、ハローワークカードに記載された求職番号があれば、営業所の端末だけでなく自宅のパソコンやスマホからも求人のインターネット検索が可能になります。ハローワークカードの有効期限は2ヶ月ですが、その後も更新することで利用を継続することができます。
気になる求人情報が見つかったら、窓口で企業の人事担当者に募集状況などを確認してもらい、紹介状を書いてもらいます。
通常の就職・転職活動の場合、「求人誌を見てお電話したのですが」と問い合わせをするのは本人ですが、ハローワークの場合はそういったプロセスは担当者が行います。
ただし、ハローワークが関わってくるのは、企業に連絡をしてくれるところまで。そこから先、企業の指示に従い応募書類を送付する、面接を受けるといったことは、自分自身で行います。
派遣会社
派遣社員として働く際には、まずは派遣会社に登録を行います。派遣会社によって登録方法に多少違いがありますが、一般的な流れは以下の通りです。
1.ウェブ登録
↓
2.派遣会社に出向き本登録
@派遣システムについての説明を受ける
A登録情報の確認
BPCスキルのチェック、一般常識のテストなど
C登録情報やスキルチェックの結果をもとに担当コーディネーターとの面談
↓
3.仕事紹介
派遣スタッフの希望に合った企業が見つかった場合、勤務日数や勤務時間、仕事内容の確認や調整は全て派遣会社が行ってくれます。
そして、派遣会社の担当者同席のもと企業との顔合わせを行い、両者の最終的な意思確認をして仕事がスタートします。
2.雇用形態が違う
ハローワークの求人は、企業と求職者自身が雇用契約を結ぶ「直接雇用」です。採用後は給与の支払いも社会保険も、全て企業と求職者本人の間でやり取りされます。
一方、派遣の仕事をする場合、あなたは派遣会社と雇用契約を結びます。そして派遣先企業では、派遣会社のスタッフという立場で仕事をします。
派遣の場合、あなたが実際に仕事の指示を受けて働くのは派遣先の企業ですが、給与は派遣会社から支給され、社会保険等も派遣会社のものに加入します。
何か派遣先の企業でトラブルが起きた際は、派遣会社がフォローや対応をしてくれます。「間接雇用」という形態になるのが、大きな特色です。
3.ハローワークは無期雇用、派遣社員は有期雇用
ハローワークと派遣社員のもう1つ大きな特徴として、ハローワークは基本的に就業期限のない「無期雇用」であり、派遣社員は「有期雇用」であるという点があげられます。
有期雇用とは期限付きの雇用のこと。いくら居心地の良い職場であっても、仕事内容が自分に合っていたとしても、同一企業で働けるのは最長で3年間。
一般的には、3ヶ月、6ヶ月など数ヶ月ごとに契約を更新していくのですが、派遣先企業の方で更新しないとなれば、あなたが望んでも契約満了となってしまいます。
逆に、派遣先企業が契約更新を望んでも、あなたが他にやりたい仕事があったり、この会社では働きたくないと思えば、更新しないという選択肢もあります。
ただし、「紹介予定派遣」の場合は、一般派遣とは仕組みが異なります。紹介予定派遣とは、将来、正社員や契約社員として正規雇用されることを前提に働くこと。
最長6ヶ月の間に、派遣スタッフは職場環境や業務内容を確認でき、企業側は試用期間としてスタッフのスキルや働きぶりをチェックすることができます。
その後、派遣スタッフと企業の双方の合意があれば、派遣としてではなく正規雇用として直接契約を結ぶことができます。ただし、6ヶ月の時点で両者の合意がなければ派遣契約もその場で打ち切りとなります。
いずれにしても派遣社員の場合、登録を解除しない限りは希望条件と一致した案件が出てくれば紹介してもらえ、求人情報が掲載されたメールマガジンが配信され続けます。今後、この派遣会社の利用をしないという場合は、電話連絡で登録削除をすることができます。
4.ハローワークは中小企業の求人が多い
あなたがもし大手企業を希望しているわけではなく、家族経営の会社やアットホームな職場を希望しているのなら、ハローワークはとてもおすすめです。
小規模の会社の場合、費用がかかる派遣会社の利用は難しいため、求人募集をかける手段としてハローワークを選ぶからです。逆に、派遣会社の場合、個人経営のような小さな会社の求人はほとんどありません。
また、ハローワークでは地元の優良中小企業の求人を扱っていることもあるため、通いやすく土地勘のある地元で働きたいという方にもおすすめです。
派遣とハローワークを求人数から比較
ハローワークに掲載されている求人数は常時およそ100万件。一方、派遣会社は大手でも3万件前後、小規模の派遣会社では数千件ほどで、ハローワークの方が桁違いに多くの案件を扱っていることが分かります。
では、この数字がどういったことを意味するのか、考えてみましょう。
ハローワークの求人数が多い理由
ハローワークは求人情報の掲載料が無料。そのため、人材採用にあまり経費を充てることのできないごく小さな会社でも利用することができます。
また、ハローワークには、求人情報を出してはいるものの実際に採用する気はない、俗にいう「カラ求人」というものが存在します。
これは、ハローワークを利用する際に企業側の負担がないこと、ハローワーク経由で人材を採用すると企業は助成金がもらえることが原因と考えられています。
一方、派遣会社は、企業が求人募集をする際には費用が発生するため、採用の意志があり、かつある程度人材の確保にお金をかけられなければ利用することができません。
このような理由から、ハローワークは派遣会社に比べて求人数が桁違いに多いのです。
求人数が多いことが必ずしもメリットにはならない
派遣会社は、信頼できると評価した企業や実績のある企業の求人を扱っていますが、ハローワークには求人の審査がありません。そのため、どんな企業でも求人情報を掲載できてしまうという特徴があります。
なかには、求人票に掲載されている仕事内容や勤務状況とは異なる仕事を強いられるブラック企業と言われるような質の悪い企業もあるようです。
つまり、ハローワークは掲載料が無料で審査もないため、求人数自体は多いものの、求職者側から見て必ずしも良い案件ばかりではない、ということが言えるでしょう。
派遣とハローワークを職種から比較
次に、派遣とハローワークを職種から比較してみましょう。
ハローワーク
ハローワークでは、何かの分野に特化するのではなく、さまざまな業種や職業を幅広く扱っており、以下のようにカテゴリー分けされています。
「モノづくりの職業」「建設の職業」「オフィスの職業」「販売の職業」「専門・企業サービスの職業」「個人サービスの職業」「個人サービスの職業」「医療・保険・福祉の職業」「教育・研究の職業」「運輸の職業」「マスコミ・デザイン・工芸の職業」「自然・動植物の職業」。
派遣会社
派遣会社の場合、大手ではハローワーク同様に幅広いジャンルの職業を取り扱っていますが、一方で、特定の業種や職種に特化している会社も多数あります。
「事務職を中心としたオフィスワーク系」「外資系企業」「ITエンジニア系」「医療・福祉系」「製造・ライン系」「販売系」というように、派遣会社ごとに得意とする分野が異なります。
登録する際は、自分が希望する業種や職種の案件を多く扱う派遣会社を選ぶことが、理想の仕事に就く近道になります。
派遣とハローワークを給料面から比較
派遣とハローワークからの就職では、派遣のほうが給与は高いのが一般的です。これには以下のような理由があります。
派遣社員の給与が高い理由
派遣社員の場合、採用には企業が求めるスキルを持っていることが、絶対条件となります。
そして派遣先企業は、必要な時に、必要なスキルを持つ人材を、必要な期間だけ派遣してもらうことが可能です。
もし仮に、正社員で同様の人材を採用するとなると、まず採用活動に広告費、書類選考や面接のための人件費や手間がかかります。採用後は給与のほかに、交通費や厚生年金、健康保険などの経費が必要となり、その上、基本的に無期雇用ですから昇進にともなう昇給も出てきます。
人を1人雇うということは、会社にとって上記のようなさまざまなお金と手間がかかります。その点派遣社員であれば、それらを全てカットすることができます。そう考えると、派遣社員の給与が高いのも、納得できますね。
ハローワークの求人の給与が低い理由
また別の観点から、派遣とハローワーク求人の給与について考えてみましょう。
ハローワークに掲載されている求人は、転職サイトなどに掲載されている情報よりも給与が低く設定されているケースが多くあります。これは、掲載料が無料ということに関係しています。
派遣会社は、資金繰りの良い大企業や有名企業が多く利用しているのに対し、ハローワークの場合、人材採用にあまり費用をかけられない企業、つまり事業規模の大きくない企業が掲載していることが多いため、全体的に給与が低い傾向にあるのです。
目先の給料ではなく就業形態で決めよう
給与だけを単純に比較すると、派遣とハローワークでは、派遣に軍配が上がることになりそうです。
ただし、派遣はあくまで有期雇用。ハローワークで就職をし、無期雇用の社員として仕事をすれば、最終的な収入がどうなるかはまた違ってきます。
一時的に収入を得たいのか、長期間に渡り安定した仕事を求めるのか、それが派遣社員になるか、ハローワークで正社員の仕事に就くかを決めるポイントになると言えるでしょう。
派遣とハローワークを福利厚生や社会保険などから比較
派遣とハローワークの大きな違いのひとつ、それが福利厚生や社会保険などの補償面が挙げられます。
派遣会社の場合、派遣スタッフは派遣会社と雇用契約を結んでいます。ですから、給与をはじめ、福利厚生などは派遣会社のものを利用することになります。
大手派遣会社では、かなり充実した福利厚生を用意しています。スキルアップ研修や、働くママを応援するための育児支援サービス、余暇を充実させるのに役立つレジャーサービスなどを完備することで、派遣スタッフが安心して伸びやかに仕事できる環境を提供しているのです。
それでは、ハローワークで紹介された企業の場合はどうでしょうか。これは、採用された企業によりけりと言えます。大きな企業であれば高待遇が期待できますし、小さな会社であれば、福利厚生が充実していないケースもあるでしょう。
ハローワークを利用する際は、そういったことも加味した上で、事業規模などもチェックすることをおすすめします。
派遣とハローワークで面接や顔合わせで違いはあるのか?
ここでは、派遣とハローワークそれぞれの場合における採用プロセスについて見てみましょう。
派遣の場合
派遣会社では、登録後にあなたが希望する条件に合った求人が見つかると、派遣会社が窓口となって顔合わせを設定してくれます。
ここで1つ、知っておきたいポイントがあります。それは、派遣の場合、顔合わせは面接や選考の場ではないということ。なぜなら、派遣先企業が派遣スタッフを学歴・性別などで選考することは派遣法で禁止されているからです。
派遣の場合、派遣スタッフが労働契約を結んでいるのは派遣会社です。派遣スタッフは、登録会で選考され、派遣会社に「このスタッフは信用に値する、スキルある人材です」と評価されて、派遣先企業に紹介されます。
派遣先企業としては、派遣会社から評価された人材に仕事に来てもらうというスタンスなので、「あなたを採用する、しない」といったことを決める権利はありません。
このような理由から、派遣スタッフの履歴書や職務経歴書を、本人の許可なく派遣先企業に見せることはありません。それも、選考に繋がりかねないためです。
顔合わせ当日は、派遣会社の担当コーディネーターと一緒に派遣先企業に向かいます。事前に面談で質問される内容などについて打ち合わせをしておくと安心です。
ハローワークの場合
ハローワークで応募したい求人を見つけたら、まずは窓口で「まだ募集はしているか」「現在の応募人数はどれくらいか」などを企業に問い合わせてもらいます。
そして、応募可能であれば紹介状を発行してもらいます。ハローワークに登録されている求人情報に応募する際は、この紹介状の提出が必須になります。
次に、先方の指示に従って履歴書や職務経歴書を紹介状とともに送付し、書類審査を通過した場合、応募先企業から連絡があり面接に進みます。
ただし場合によっては、履歴書・職務経歴書・紹介状を持参のうえ、そのまま面接に進むケースもあります。
面接をクリアし晴れて採用となった場合は、その会社と応募した本人が直接雇用契約を結ぶという流れです。
結局、ハローワークと派遣のどっちが良いのか?
派遣とハローワーク、どちらが良いのか?これは、求職者がどのような働き方を希望するかということで変わってきます。
まず考えたいのは、安定した状態で1つの会社に長く勤務したいのか、それとも短いスパンでさまざまな経験を積みたい、または生活スタイルに合わせて働き方を自由に変えたいのか、というところです。
前者であればハローワークを、後者であれば派遣がおすすめです。
また、ハローワークは仕事の紹介まではやってもらえるものの、基本的にその後のフォローはありません。
一方、派遣会社は、スキルアップのためのセミナーや、働き方や仕事についての相談、面接対策、さらには就業後のアドバイスなど手厚いサポートが受けられます。
両者のメリット・デメリットをしっかり比較し、自分に合った働き方ができる方を選びましょう。
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