二重派遣が禁止の理由とは?二重派遣の仕組みや罰則についての詳細

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二重派遣が禁止の理由とは?二重派遣の仕組みや罰則について

「二重派遣」という言葉を聞いたことはありますか?

多様な働き方が認められるようになり「派遣として生計を立てる」という選択をした人たちにとっては、派遣という働き方がはらむ様々なリスクを知っておくことは非常に重要なポイントになります。

ぜひ知っておいて欲しいものの一つが、この「二重派遣」です。

二重派遣とは、派遣元の会社とは別に、派遣先企業とその先にまた別の派遣先企業が絡むこと、つまり派遣会社にとって派遣先だと思っていた企業が仲介会社として絡むことをいいます。

「そんなことって、あるの?」と思われるかもしれませんが、近年こういった行為が横行しているのです。

今回は、二重派遣の仕組みや禁止とされている理由、そして罰則についてご紹介します!二重派遣は、派遣スタッフにとって利益が出ることはありません。派遣先企業とその先にある企業だけが、利益を得られる仕組みとなっています。

派遣スタッフにとっては自分がどこに雇用され、誰の指示に従えばいいのかがよく分からなくなり混乱をすることや、事故やトラブルが起こった際に非常に困惑する事態に陥ってしまうことも。

困惑する程度で済めばいいのですが、様々な責任の所在が曖昧になり、派遣スタッフにとっては非常に不利な状況となっていまいます。そんな二重派遣が、特にIT業界では横行しており、問題となっているのです。それでは二重派遣の仕組みや、その違法性について詳しくご紹介しましょう。

二重派遣の仕組みを理解しよう!

まずは、二重派遣の仕組みについて正しく理解することから始めましょう。派遣スタッフは、派遣会社に雇用されて、派遣先企業で仕事をします。所属はあくまで派遣会社であり、派遣会社から派遣先企業に派遣されて仕事をするスタイルです。

給与の支払いや、福利厚生などはすべて、派遣元である派遣会社から行われます。これが「間接雇用」と呼ばれるものです。まずは、この就労形態を正しく理解することから始めましょう。ちなみに、これに対して、企業に直接雇用される正社員やアルバイトなどを「直接雇用」と呼びますが、今回はあまり関係がないので軽く触れておく程度にします。

さて、派遣スタッフは派遣先企業で仕事をします。担当する仕事の指示に関しては、派遣先企業の上司のものを従うことになります。派遣スタッフと派遣先企業の間には、雇用関係はありません。

雇用関係があるのは、先ほども述べた通り派遣会社と派遣スタッフの間になりますが、指揮命令権、つまり派遣スタッフに実際に指示を与える権限は、派遣先企業が持っています。

指揮命令権を持つ派遣先企業の指示に従って仕事をし、万が一損害等が発生した場合は、派遣会社は派遣スタッフが責任を求められることはありません。その責任は、派遣先企業が負うことになります。二重派遣の場合は、ここから先が非常に不透明となるのです。

「二重派遣」とは、派遣スタッフを受け入れていた派遣先企業が、自分の会社の業務をその派遣スタッフに担当させるのではなく、さらに他の会社に派遣労働者として派遣する行為を指します。

つまり、派遣先企業からさらに派遣される、ということです。この二重派遣は、職業安定法第44条の労働者供給事業の禁止と、労働基準法第6条の中間搾取の排除により、はっきりと禁止されている行為です。

職業安定法第44条の「労働者供給事業の禁止」において「何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、またはその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自ら指揮命令の下に労働させてはならない」と定められています。

分かりやすく説明すると「企業は労働者、つまり正社員や契約社員、アルバイトやパートなど自社が雇用している人材を、他の会社に売り渡すようなことをしてはいけない」ということ。他の会社から来た労働者に、業務を指示してはいけないということなのです。指揮命令権を持たない、ということですね。

第6条「中間搾取の排除」では「何人も、法律に基づいて許される場合のほか、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」となっています。

これは「労働組合などが例外的に労働大臣の許可を受けた上で、無料で行う場合に関しては認められますが、労働者供給事業を行うこと、それにより供給される労働者を働かせることはNGとされている」ということです。

労働者供給事業について少し説明すると、自己管理下にある雇用関係のない労働者、つまり派遣先企業にとっての派遣スタッフがこれに該当しますが、この労働者を他者の指揮命令のもと他者、つまり派遣先企業がさらに派遣した先の企業に使用させることにより利益を得ることを指します。

これに違反すると労働者供給元、つまり派遣先企業、そして労働者供給先である派遣先企業が派遣スタッフを派遣したその先の企業、双方に対して罰則規定があるということを、知っておきましょう。

また、労働基準法第6条により禁じられている中間搾取、つまり他人の就業に介入することによって利益を得ることにもこれに該当します。中間搾取に関しても、罰則規定があるものとなっています。

さらに、労働者派遣法2条1項において、労働者派遣は自己の雇用者、つまり派遣会社の場合は派遣会社が雇用している派遣スタッフを派遣しなければいけないと定められています。二重派遣は、これにも違反することになるのです。

二重派遣は、違法行為であるということをなんとなくイメージしていただけたでしょうか。自分が置かれている状況に違和感を抱いた時には「二重派遣になっていないか」をチェックしてみることをおすすめします。まずそのためには、二重派遣についてしっかりと理解することから始めましょう。

二重派遣になり得る事案とは

二重派遣の基本的な仕組みは、お分かりいただけたでしょうか。では、もう少し具体的に例を挙げて、見ていきましょう。まず、二重派遣には二つの形があります。この二つの形をきちんと理解することから始めましょう。

まず、一つ目のパターンです。派遣会社Aから、派遣スタッフを受け入れている企業Bがあるとします。派遣スタッフは、企業Bの業務を担当することを前提として、派遣会社Aから派遣されてきました。

この場合、派遣スタッフは派遣会社Aと雇用形態を結んでいることになる、というのはお分かりになるでしょうか。派遣先企業であるBで仕事をしてはいますが、雇用主はあくまで派遣会社Aです。指揮命令権が派遣先企業Bにある、ということになります。

それにも関わらず、企業Bが派遣スタッフに自社、つまり企業Bの仕事を担当させることなく、さらに他の企業であるCの指揮系統のもと仕事をさせた場合、これが「二重派遣」となるのです。

Cの指揮系統というと少しイメージしにくいかもしれませんが、企業Bに派遣されているはずの派遣スタッフに対して、また別の企業Cの社員が指示を出し、仕事をさせるということになります。

企業Cのスタッフが、常駐という形で企業Bにいる場合などに、こういった事態が起こりやすくなります。

IT業界で起こりがちなパターンなのが、こちらの事例です。他の会社の社員であっても、派遣先企業に常駐している場合、この事実に気づきにくい面もあり、派遣スタッフが「自分は二重派遣になっている」と自覚できずにいるケースもよくあります。

二重派遣状態に陥らないためには、派遣スタッフが「今自分が指示を受けている社員は、どこの会社の人か」を把握しておくようにすることが大切です。自分が派遣されている企業Bではなく、他会社のスタッフからの指示を受けて仕事をしている場合は、注意するようにしましょう。

続いて、二つ目のパターンを見ていきましょう。二つ目のケースは、派遣会社Aから企業Bに派遣されている派遣スタッフを、企業Bが企業Cに「再派遣する」というもの。

企業Bは企業Cに対して、派遣会社Aから派遣されている派遣スタッフを労働力として提供している、つまり二重派遣しているということになります。この場合、企業Bはマージン、つまり派遣料金を中間で受け取ることになるため、利益を中抜きしている状態となるのです。
非常に悪質な手口であるといえるでしょう。

これが、二重派遣の代表的なパターンとなります。こういった事態が、特にIT業界では頻繁に起こっており、それが大変問題となっているのです。二重派遣が発覚すると、派遣先企業Bと派遣先の先にある企業Cが処罰を受けることになります。

知らない間に自分が二重派遣されていた場合、派遣スタッフも「自分も罰せられるのでは?」と不安になりますよね。そして、派遣スタッフが所属している派遣会社Aに対しては、何か処分が科せられるのでしょうか。

派遣先企業BとCに対する処分も、気になりますよね。続いて、二重派遣が発覚した場合の措置について、具体的に見ていきましょう。

「二重派遣」が発覚したらどのような措置が行われるの?

二重派遣が発覚した場合は、どのような措置が行われるのでしょうか。まずは、二重派遣を行った派遣先企業と、それを受け入れた派遣先企業に対して、業務改善命令などの勧告が行われます。

勧告に従わない場合は、企業名とその旨が公表され、事業停止命令が下されます。それでもなお従わないでいる場合は、最終的に事業廃止命令まで受けることになるのです。段階的とはいえ、厳罰が科されると考えた方がいいでしょう。法を犯すということは、それだけ大きなことなのです。

二重派遣が発覚した場合の罰則は?

では、具体的にどのような罰則が科せられるのでしょうか。二重派遣が起こってしまった場合、職業安定法第44条に違反したとして、1年以下の懲役もしくは20万円以下の罰金が科されることになります。これは、職業安定法第64条で定められています。

罰せられるのは先ほども少しご紹介した通り、派遣先企業Bと、その先の派遣先企業Cになります。派遣スタッフを二重に派遣してしまった派遣先企業Bだけではなく、派遣スタッフを受け入れた、つまり労働力としての供給を受けた二重派遣先企業Cも罰せられることになるのです。

比較的厳しい措置のように感じられるかもしれませんが、それだけ悪質であると判断されるような事案なのだと知っておきましょう。

職業安定法第44条に二重派遣として違反した場合、罰せられるのは法人だけではありません。企業B、企業Cの代表者や人事責任者、採用担当者も罰則の対象となり、書類送検されることもあります。

いきなり厳罰とはなりませんが、企業Bや企業Cが労働局の改善命令などの勧告にも従わない場合は、企業名とその旨が公表されることになるのです。さらには、事業停止命令または事業廃止命令を受けることになります。

では、派遣先企業Bが二重派遣を行っているということを、再派遣先である企業Cが知らずに受け入れていた場合は、どうなるのでしょうか。この場合は、二重派遣であることを理解した上で二重派遣を行っていた派遣先企業Bだけが、罰則を受けることとなります。

派遣スタッフや派遣会社は罰せられる?

自分が知らない間に二重派遣されてしまった派遣スタッフは、どうなるのでしょうか?派遣スタッフ自身が罰せられることは基本的にありませんから、まずは安心してください。被害にあったのは、派遣スタッフサイドとなりますから、罰せられるようなことはまずありません。派遣会社に関しても、罰則が科されることは基本的にありません。

ただ、どちらも「自分が知らないうちに」「派遣会社が把握していないうちに」二重派遣が行われていたケースになります。二重派遣であることを理解した上で、黙認していた場合はまた話が違ってきます。

派遣スタッフ、派遣会社にとって、二重派遣はメリットもなく、リスクの大きなものとなりますから、基本的に承知の上でそれを引き受けているというのはあまり考えられません。ですが、承知の上でそうせざるを得ないケースというものも、存在するようです。そのような事態に陥ったら、早めに労働局の相談窓口に相談するようにしましょう。

「二重派遣」が問題となる理由

ではなぜ「二重派遣」は、問題となるのでしょうか。それは、職業安定法第44条にある労働者供給事業の禁止に違反するためです。

「人を供給することは禁止」としているこの法律を違反すると、二重派遣を行っていた派遣先企業は、先ほどもご紹介した通り業務停止となります。二重派遣を行っていることを知りながら、つまり二重派遣であり違法であることを理解しながらも二重派遣を受け入れていたその先の企業、つまり再派遣先企業に対しても、業務停止が科せられるケースも。法令違反になりますから、罰則が科されるという訳です。

二重派遣が禁止となる理由は、派遣先と派遣スタッフの間に雇用関係がないことが関係してきます。「派遣」という働き方では、派遣スタッフは派遣会社と雇用関係を締結した上で、派遣先企業で仕事をします。

つまり、派遣スタッフが雇用されているのは、派遣会社です。派遣先企業と派遣スタッフの間に、雇用関係は成立していません。派遣先企業としては、派遣スタッフに対して派遣先企業の業務を任せる以上指揮命令権のほかには、何の裁量は持っていないということ。

つまり、派遣スタッフに対して実際に指示を出す会社、つまり派遣先企業の先にある再派遣先企業とももちろん直接雇用関係はなく、労働契約もしていないことになります。

労働者の「供給」と「派遣」で異なるのは、管理や統制方法になります。労働者派遣、つまり派遣会社の派遣事業に関しては、労働契約を締結した派遣社員を派遣先企業に派遣しているので、合法となります。

それに対して、労働者供給、つまり二重派遣の場合は派遣スタッフと派遣元の間に雇用関係はありません。「労働者保護」の観点から違法とされ、罰せられることになるのです。労働基準法により、正社員やアルバイト、パート、そして派遣社員などの労働者は守られています。

それなのに、再派遣先で就業している派遣スタッフに関しては、労働基準法の適用外となってしまうのです。そのため、どれほど劣悪な環境で仕事をすることになったとしても、それが違法だと訴えることが出来なくなってしまうということ。派遣スタッフが被害をこうむることになってしまうのです。

通常、この事項に関しては派遣契約時に交わされる派遣契約書に記載されています。派遣契約時の派遣契約書は、一般的に就業開始前の面談時にさらりと説明され「一読しておいてください」といわれることが多いようです。

そうなると、つい本当にさらっと目を通しておしまい、としてしまいがちですが、派遣契約書は非常に重要なもの。自分が担当する業務内容についても、しっかりと明記されているはずですから、きちんと目を通しておきましょう。

そして、通常この契約書には派遣先企業が自社の仕事以外を派遣スタッフに依頼することや、別の会社への派遣を行うといったことは記載されていないはずです。知らぬ間に法律違反の片棒を担ぐようなことにならないよう、しっかりとチェックしましょう。

労働基準法について知っておこう!

労働基準法とは、労働時間や賃金、休日といった最低限の条件について、ある一定の基準を定めた法律です。この労働基準法を違反した場合、違法となりますから、労働基準監督署から指導・罰則を受けることになります。

こういった法律で、労働者は守られているということを知っておきましょう。この労働基準法が適用されていないと、労働者の健全な雇用、安全衛生面の確保といった基本的な労働条件が確保されなくなってしまいます。正社員、派遣社員、契約社員、アルバイト、パートといった労働者すべてが、この法律の対象となっています。

さて、ここからが、二重派遣のケースにおける問題点です。個人事業主が請負契約等の契約を交わしている場合は、労働基準法の対象にはなりません。これが、二重派遣の抜け道になってしまっているのです。

二重派遣にならない抜け道方法はあるのか?

ここまでの記事を読んでいただければ、二重派遣はまず違法労働であること、そして派遣スタッフにとって非常に不利となる劣悪な労働環境を招いてしまうものであるということがお分かりいただけたと思います。

二重派遣の手口も、最近は多様化しています。ここ最近、特に増えてきているのが「請負」と見せかけて、派遣スタッフをその先の企業に派遣する「偽装請負」というスタイルです。「請負」というのは、いわゆる業務委託のこと。

業務委託契約を交わした上でなら、派遣先企業からさらに再派遣される形になったとしても、派遣先企業で他の会社からの仕事を請け負うことになったとしても、契約で交わした請負業務を遂行することに限っては「請負」であるから、違法ではないと言い逃れをすることが出来るのです。

つまり「二重派遣にあたらない」と、逃げることが可能になってしまいます。ですが、書類上では形式的に請負契約としておいて、実際は派遣スタッフを派遣しているのですから、立派な違法となります。

これが「偽装請負」の実態です。「偽装請負」状態に陥ってしまうと、労働者派遣法に定められている派遣会社、派遣先、派遣先の先にある企業の間にある様々な責任の所在が曖昧になってしまうことが問題となります。

偽装請負が発覚した場合は当たり前のことですが、二重派遣のケースと同様に罰則が科されます。偽装請負には、どのようなパターンがあるのでしょうか。知っておくことで、自分の身に降りかかってきた時に「もしや」と疑いの目を持つことも出来ます。ここでは、よくあるパターンを見ていきましょう。

○請負契約としておきつつ、派遣先企業が派遣スタッフに指示を出して、出勤や退勤などの管理も行っているケース。

○仕事を請け負っている企業が、その仕事をまるごと下請け企業に依頼し、下請け企業の労働者が発注元企業の現場に向かって業務の指示を受けるという形。
雇用主や責任者がはっきりせず、いつの間にか自分がどこの誰に雇われているかが分からなくなってしまうパターン。

○労働契約を交わさずにフリーランスとして請負契約を結ばせておきながら、実際には直接業務の指示や命令を行って仕事をさせるケース。

二重派遣にならない抜け道を使って、なんとか利益を得ようとしている派遣会社も存在します。気づかないうちに自分が二重派遣になっていないか、派遣スタッフは自分の置かれている状況を的確に把握しておくこと必要です。

派遣会社は派遣法に基づいて労働者供給をしている

「労働者供給事業をしてはいけないのなら、派遣業務自体問題はないの?」と、不思議に思われるかもしれません。ですが、派遣会社だけは派遣法に基づき「派遣社員を派遣先企業に供給すること」が認められています。

ですから、派遣に関しては労働者の供給に該当しないのです。人材派遣業の許可を厚生労働省から得るためには、いくつかの基準をクリアしている必要があります。

その基準をクリアし、派遣法に基づいて派遣事業を展開しているのであれば、まったく問題はありません。

自分が派遣として仕事をしようと考える場合、登録を検討している派遣会社がきちんと厚生労働省から許可を得ているかを確認するようにしましょう。許可を得ている派遣会社は、きちんとその旨が記載されています。

二重派遣が禁止となった理由

二重派遣には、様々なリスクがあります。派遣スタッフサイドからすると、どのようなリスクがあるかを見ていきましょう。

責任の所在が曖昧になるリスク

たとえば、就業中に事故などの労災事案が発生した場合、通常であれば雇用関係を締結している会社がその労災保険を利用して、労働者の生活を保障することが義務付けられています。ですが、いくつもの会社が間に入っている場合「どの会社が責任をとるべきか」がはっきりしなくなってしまい、労働者がきちんと正しく保証を受けられない可能性が出てきます。

「派遣スタッフが怪我をしたら、どの会社が保障するのか」「解雇した場合は、どの会社が解雇補償金を支払うのか」こういった、派遣スタッフにとっては非常に重要なポイントが、不明瞭な状態になってしまうのです。

特に、IT業界ではクライアント常駐型や、業務委託といった雇用形態が増加傾向にあります。これは、二重派遣につながるリスクをはらんでいるので、十分な注意が必要です。

二重派遣が横行しているIT業界は、他の業種に比べて仕事中に事故に遭い、負傷するようなケースがあまりない業界といえるでしょう。

引越し業のように荷物を運ぶ途中で怪我をすることや、清掃業のようにビルの窓ガラスを磨いている途中に誤って落ちてしまうようなことが起こりにくいことは、想像できますよね。そういった事故が起こると、労災問題などが二重派遣問題を表面化させるきっかけになることも多くあります。

ですが、労災問題などが起こりにくい業種だからこそ、二重派遣問題が横行している面もあるといえるでしょう。

賃金が低下するリスク

労働基準法により、中間搾取が禁じられていることは先ほどもご紹介しましたが、二重派遣は中間搾取が起こりやすくなる傾向にあります。二重派遣の状態になると、間に入っている会社が手数料をとっているケースが多く、その分派遣スタッフに支払われるはずだった給与額が減ってしまうのです。

賃金低下は、派遣スタッフの生活環境を悪くさせる可能性があります。派遣スタッフの生活を守ることを目的に、二重派遣は違法とされているのです。

たとえば、派遣会社Aから派遣されて、派遣先企業Bに就業しているはずなのに、派遣先企業Bからさらに企業Cに実際は派遣されていたとしましょう。企業Cからは十分は報酬が支払われていたとしても、派遣先企業Bが中間マージンをとっているため、派遣会社Aに支払わられる派遣料金は少なくなってしまいます。

派遣先企業Bは、派遣スタッフを右から左へと流すだけで仲介手数料を手にすることが出来てしまいます。こうなると、一番被害をこうむるのは派遣スタッフです。派遣会社に渡る派遣料金が減少するということは、派遣スタッフに支払われる給与も減ってしまうということ。派遣スタッフに還元されるお金が少なくなってしまうということなのです。

二重派遣の問題点について、見てきました。労働環境が劣悪にも関わらず、賃金が安く、その上万が一の時に補償されないとあっては、派遣スタッフにとってはあまりにも厳しいものといえるでしょう。だからこそ、二重派遣を許してはいけないと、厳しい処罰が下されているのです。

実際に二重派遣が罰せられたケースは?

それでは実際に、二重派遣が罰せられた判例をご紹介しましょう。

2017年沖縄労働局派遣元へ業務改善命令

2017年8月、シー・アール・シーに対して厚生労働省沖縄労働局は二重派遣の疑いがあるとし、業務改善命令を出しました。業務委託契約で受け入れた人材にも関わらず、他の会社に対して派遣スタッフとして派遣し、派遣先の指示のもと就労させていたというものです。

労働者派遣法、そして職業安定法に則って、事業の総点検を実施。再発防止策を講ずるように指示されました。

2017年大阪労働局派遣元へ1ヶ月の労働者派遣事業停止命令と業務改善命令

2017年12月、大阪労働局は職業安定法第44条で禁止されている二重派遣を行ったとし、大阪府門真市の株式会社YEBISU WORKSに対して、1ヶ月間の労働者派遣事業停止命令と、業務改善命令を下しました。

請負契約としているA社との供給契約に基づく形で、労働者派遣事業者5社より株式会YEBISU WORKSに派遣された労働者207名に対して、少なくとも1487日間に渡ってA社の指揮命令のもと労働させ、法廷の除外事由なく労働者供給事業を行ったとされています。

2017年10月東京労働局派遣元に対して事業停止および事業改善命令

2017年10月、東京労働局は労働者多重派遣を行ったとして派遣事業主である派遣元事業主のIT企業株式会社レーベンに対して、労働者派遣法に基づき業務停止および事業改善命令を下しました。

株式会社レーベンは、平成25年7月から平成28年12月の3年6ヶ月に亘り、別の派遣会社5社から業務委託契約と称し労働者9人を受け入れました。その後、同様に業務委託と称し契約を交わしたIT企業に対して派遣。

2018日に亘って、派遣先であるIT企業の指揮のもと、業務に従事させたとするものです。企業間でのいわゆる「多重派遣」が行われていたものとなります。

派遣労働者が自分を守るためには

派遣労働者が「給与さえもらえていれば、二重派遣でも構わない」というスタンスになってしまうことが、二重派遣という事態発見・把握を遅らせている要因の一つです。

「仕事があるだけありがたい」という姿勢は、派遣スタッフとして仕事をしていく上で非常に謙虚で、好ましいものかもしれません。

ですが、違法状態であるにも関わらず、甘んじてそれを許していると、どんどんと不利な状況に追い込まれていく可能性もあります。

また、劣悪な労働環境であっても「仕事をもらえるだけいい」と考えていると、それが違法であること自体にも気づけないで過ごしてしまうケースも。

自分が置かれている労働環境が違法であると認識することは、とても重要なこと。違法労働をさせられている上、賃金を搾取されているのを見過ごすようなことがあっては、悔しいですよね。

派遣という就労スタイルは、どうしても立場が弱くなりがちな面もありますが、間違っていることは「間違っている」と訴えるべきです。

特に、IT業界で二重派遣されている場合は、自分の就労スタイルが「二重派遣」や「偽装請負」であると認識したとしても、他の会社での経験が浅い場合は特に比較対象がないため、不当に賃金を搾取されているということに気づけないでいるケースも多くあります。

自分の労働に対して、正当な給与を得ることが出来ているか、意識しておくことが大切です。「何かおかしい」と感じたら、二重派遣ではないかと疑いの目を持つことも、自分を守ることにつながります。

それでは、万が一自分が二重派遣されていることが分かった場合は、どのように対策を講じればいいのでしょうか。最後の項目では、二重派遣判明時の相談窓口や、その対策についてみていきましょう。告発という言葉を使うと、強い印象となってしまいますが、自分の身を守るため。ここは勇気を持って動くことをおすすめします。

二重派遣と分かった場合、どこに相談すればよい?

自分が二重派遣状態にあることに気づいたら、まずはどこに相談すればいいのでしょうか。まずは、派遣会社に相談することから始めましょう。それでも、解決が難しい場合は、派遣事業管轄のハローワーク、もしくは労働局の相談窓口に連絡します。

ここまできてしまうと、通報になってしまうため、ためらう派遣スタッフも多いかもしれません。ですが、正当な権利を主張するのですから、勇気を持って動きましょう。不正に賃金を搾取され続けていて黙っているのは、いくら立場が弱いからとはいえ、不健全です。

派遣会社が相手にしてくれなかった場合

「派遣会社に相談したけれど、何も対応してくれない」となった時、どのようにすればいいのでしょうか。派遣会社は、派遣先企業との力関係でいうとどうしても弱い立場となることは、想像がつくと思います。

やはり、発注される側の方が、発注する方よりも弱くなってしまう部分はありますよね。そうなると、派遣会社がなかなか動いてくれないということも、あり得ます。そうなったら、派遣スタッフ自身が労働局の相談窓口である需給調整課に出向いて、相談することをおすすめします。

できるだけ、二重派遣の証拠になり得るものを集めて、持参すると話が早いでしょう。業務指示のメールのコピーは、どこの会社の誰から自分が指示を受けていたかを明確にする証拠になります。いきなり出向く勇気がない、という場合は匿名で電話相談するところから始めてもいいでしょう。

二重派遣状態にならないためには

一番大切なのは、二重派遣状態に自分が陥ることがないように、契約時には契約書をしっかりと熟読し、疑問に思うことは確認しておくようにしましょう。そして、できるだけ大手派遣会社を利用することをおすすめします。

大手派遣会社は、二重派遣をすることのリスクを十分承知しています。違法行為に手を染めることのリスクを冒してまで収益を上げたいという考えがまずありませんし、万が一派遣先企業でそのようなことが行われていたら、適切に対処してくれるでしょう。そういった意味では、大手派遣会社の方が安心して就業できるというメリットがあります。

まとめ

派遣スタッフとして仕事をしていて「あなたは優秀だから」と、他の企業への就業をすすめられた経験がある、という方もいらっしゃるかもしれません。それは、知らぬ間に派遣先企業からさらに派遣されてしまう事態、つまり二重派遣になってしまうことも考えられます。

同じ企業内で、部署を移動することは問題ありません。ですが、派遣先企業を出て、他の会社に仕事をしに行くというのは、二重派遣状態になっている可能性が大きいといえます。「おかしいな」と感じることがあったら、まずは派遣会社に相談するようにしましょう。

それでも解決しない場合は、労働基準監督署やハローワークに相談します。二重派遣は、違法行為です。派遣スタッフ自身は罰せられることはありませんが、自分が違法状態にあり、賃金を搾取されていたとあっては、たまりませんよね。「派遣スタッフだから」と、強く主張できない人も多いようですが、違法状態であることを容認するのは、いいことではないのです。

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